押花画・シルバーアクセサリー・グラスアート・とんぼ玉のアトリエ「まる工房」の代表・副代表が釣りや旅のことなど書いています。

釣日記 怖かった話 その4

トップページ > 釣り日記 カテゴリ > 釣日記 怖かった話 その4

釣日記 怖かった話 その4

怖い思いをした話も今回で最後。

釣竿


これまでのクロダイ釣り行脚で、いろいろと怖い経験をしたが、何故か外房での体験が多いようだ。
今回も外房千倉港でのこと。
昭和46年10月頃の事だったと思う。

千倉駅に着いたのは、午後6時半を過ぎていた。
素泊まりの予約を入れておいた民宿は、比較的分かりやすい所にあった。
無愛想なお婆さんに、2階の6畳間に通された。
窓から外を見ると潮風を浴びた瓦屋根の小さな家が軒を連ねていて、いかにも漁師町風の街並だった。
暫く待ったが、お茶も出ないので、釣り道具を持って外に出た。
民宿を出て港の方へ歩いて行くと、赤提灯が見えた。
『ラーメン』と書いた暖簾をくぐって店に入ると、釣り人2人がビールを飲みながら談笑していた。
話の内容から察すると、船釣りの人達で、釣果は今ひとつだったようだ。
注文したチャーハンとラーメンは、空腹だったせいもあり、旨かった。爪楊枝を一本持って店を出た。

港へは、あまり迷わずに着いた。
港は、大きくて広かった。
魚市場の常夜灯の下で荷物を下ろして周囲を見回したが、釣人らしき人影はなかった。
時計を見ると午後8時半過ぎ。
「さーて、始めるか」と、釣り仕度にかったその時、「ドドーッ」と地響きのような音と共に、テトラポットを乗り越えた波が港に流れ落ちて来た。
うねりがあるのか…。灯台の方へは行けないなぁと、少しガッカリした。
気を取り直して魚市場側で竿を出したが、何処を探っても「ピクリ」ともしない。

1時間くらい粘ってみたが、反応がないので堤防の上に竿を置いて、タバコに火をつけようとした時、突然後ろから声をかけられた。
『釣れますか?・・・昨晩の事ですがね、あの灯台の辺りで、波に飲み込まれて人が亡くなったそうですよ』と、漁師には見えない30歳位の人が近づいて来た。
『そうですか…』と私が言うと、その人は、
『遺体は、その辺りであがったそうですよ。』と、私の立っている近くを指差した。
『うねりが入っていますから、気をつけた方がいいですよ。釣れるといいですね!』と言って去って行った。私は暫くの間、その人の後姿をぼーっと見つめていた。

相変わらず「ドドーッ」と一定の間隔をおいて堤防を越えて来る波の音が響いていた。
気味が悪くなってきたので帰ろうと思い、竿を置いた堤防を振り返ると。。。竿が無い!
海面を見ると、常夜灯に照らされて竿がゆらゆら浮いていた。
呆然として竿を眺めていると、竿が岸に近づいてきたので、急いで別の竿を用意して引っ掛けようとした。
すると竿は「スーッ」と逃げるように遠ざかって行き、また近づいて来る。
引っ掛けようとすると、また遠ざかる。。。
どうしても引っ掛けることが出来ない。
そのうちに、竿はものすごい速さで湾口の方へ流れていって見えなくなった。
愛竿をなくして残念だったが、死体の上がった近くにいることが怖くなり、身支度もそこそこに、民宿へ引き上げた。

突然現れたあの男の人は、いったい誰だったのか・・・今でも不思議に思っている。

(記:副代表)

この記事のカテゴリーは「釣り日記」です。
釣り好きのまる工房副代表が、釣りの思い出を綴っています。
関連記事

釣り日記 あ~ぁ、がっかり!

敦賀市杉津へ釣行した時の話。 昭和45年8月某日、友人3人と夏休みをとり、東京...

釣り日記 笑えない話

これもずい分古い話である。 1968年の3月、東京に大雪が降った。 その日...

釣り日記 人命救助の話

平成5年11月頃の事件だったと思う。 私のクロダイ釣り(へち釣り)の師匠であ...

釣日記 怖かった話 その4

怖い思いをした話も今回で最後。 これまでのクロダイ釣り行脚で、いろいろと怖い...

ブログ内の検索

RSS登録

My Yahoo!に追加

Add to Google

エキサイトリーダーに登録

ivedoorリーダーに登録

はてなRSSに追加

サイト情報
リンク